パープルハイウェイ


真夜中に独りブラっと車を転がす。何年ぶりだろうか。
今でも車には乗っているが、一人で乗ることはほとんどない。
昔は一日中乗り回し、幾度 紫がかった朝を迎えたことか。


私は二輪も四輪も乗りまわす。いや、してきた。
二輪は人馬一体。武将同様、プロテクターに身を包む。
少しのミスも許されないから常にアドレナリン全開。
緊張感の中で集中力が研ぎ澄まされていく。快感・・・。


四輪はオートマなら気楽。片手片足で十分だし、服装も適当。
既に鉄のプロテクターをつけてるようなものだから。
視界も縦でなく横に広がり、全てに余裕がある。
好みの音楽をかけ、ただ漠然と街道を走る。
どこまでも続くネオンの元、感傷にふけっていく。快感・・・。


いまや家庭を持つ身。護るべきものがあるし、仕事の責任も重い。
しかし夜明けの美しさは変わらない。いつでも俺を癒してくれる、
そんな気がした。